1000年後へのブログ 2010年田舎暮らし①
私がいわゆる「田舎暮らし」を始めて、およそ7年経ちました。
「田舎暮らし」
という言葉が、日本で広まり始めたのは、昭和50年代の終わり、1985年位からだったでしょうか。
調べてみますと「田舎暮らしの本」という、田舎暮らしにあこがれる人向けの代表的な月刊雑誌が1987年に創刊されたようですので、やはりその位だったようです。
わざわざそういった雑誌が作られるくらいですから、当時の人にとって「田舎暮らし」は特別なことであったと思うのですが、それから30年程度経った2015年現在はどうかといいますと、まだまだ一部の人間のすることといった印象であると思います。
とはいえ、危険視されて即座に排除されるというようなことは無い、そういう段階には来ていると思います。
私は33歳から田舎暮らしを始めました。
2010年前後の現在において、30代で田舎暮らしを始めるというのは、飛び上がって驚かれるようなことではないものの、地方メディアの取材などを大部分は受けることになるであろう程度の珍しさです。
自分の事でもありますので手前味噌(・・・手前味噌とは、自分の家で作った味噌の味を自慢することで、自分で自分のことを誇ることを表すこの時代の諺)になりますが、この時代において田舎暮らしをしている30代というのは、社会に受け入れられるかはともかく、自分の考えやこだわりを大事にする、かなり個性の強い人間が殆どの状態だと思います。
そしてこういうタイプの人間が、ごく稀な「奇人変人」レベルではなく、ある程度の「層」として現れだしたのは、私達「就職氷河期世代」からではないかと思います。
それにはいくつか理由があると思います。
お察しの通り、理由はそれまでの
「レールに乗った生き方」(・・・1980年位からネガティブな意味でよく使われるようになった表現です)
をしようにも、レールが足り無くなってしまっていたこと。
そして、就職氷河期世代というのは、幼年時代にテレビを中心としたメディアから
「レールに乗った生き方、それまでの主流な生き方、物質主義的な生き方はくだらないものだ!」
という考えを、繰り返し繰り返しすりこまれた世代でもあったからです。
実際に行動に移すかどうかはともかくとして、氷河期世代には
「レールに乗ることを否定したがる、反物質主義的な思想を持つ」
という部分が、比較的多く眠っているのではないかと思います。
ですので、田舎暮らしを実行に移した30代というのは、表面的には反・非メディア的な考えを持っていることが多いのですが、見方によっては私も含めて
「実はメディアに影響されやすい性格だった」
と言えるかもしれませんね。
私の育った家庭は、カラーテレビ位しか家庭での娯楽が無かった1980年代に、基本的に民間放送禁止という厳しめの教育方針だったのですが、「生き方」をテーマにした重たいドキュメンタリーやドラマはしっかり見せられていたため、あまり免疫の無いところに、一般的な人より強い影響を受けてしまったのかもしれません。